おもひでぽろぽろ



おはようございます。


昨年と今年は、新型コロナ感染蔓延の中で果たせませんが、

「毎年のお盆には郷里の岡山県津山市まで帰省する」というのが、

高校を卒業して上京して以来の私の習慣でした。


そして津山駅に着くと、そこから津山市北部にある実家まで、

私はいつも、私にとっての津山のかつての思い出の地、

例えば昔好きだった女の子の家や賑やかだった商店街、

よく行った書店とか喫茶店、通った小学校や中学校、

両親に連れられてよく行った場所などを巡りながら歩いて帰ります。


郷里を離れて暮らしている者にとって、たまの帰省は、

かつての自分の思い出探しの旅でもあるからです。


スタジオジブリ作品の1つに「おもひでぽろぽろ」というアニメ映画がありますが、

その中でヒロインの行く先々に過去の幼い頃の自分があちこちで顔を出すように、

私の場合も、津山駅から実家に至る道のあちこちでかつての私に出会います。


なにしろ津山は、私が生まれてから高校を卒業するまでの

人生の最も多感な時代を過ごした街なのですから。


今ではレンタカー会社になってしまった駅前のバスターミナルは、

かつては各地へ向かうバスと乗客でごったがえし、その中には

噴水式の自動販売機からジュースを買ってもらって飲んでいる

幼稚園児の私の姿が見えます。


またその横にある、今は取り壊されてコンビニになってしまった駅前ビルには

かつて邦画と洋画の2つの映画館とレストランがあり

屋上にはメリーゴーランドや観覧車まであって多くの人々で賑わう中、

両親に連れられてはしゃいでいる小学生の私や、友人と2人で

当時の人気映画「007ロシアより愛を込めて」を熱心に見ている

中学生の私がいます。


そこから橋(今津屋橋といいます)を渡って津山市中心部の商店街に入り、

中学校時代好きだった女の子が住んでいた家の近くまで行くと、

家の近くまで行ってそっと角からその子の家を眺めている私や、

勇気をふり絞ってその子の家に行ったものの、その子のお父さんに

見つかって油を搾られている中学生の私が顔を出します。


そこから北の、今は文化センターが建っている場所には

かつて私が通った小学校があり、背丈まで届くような大雪の中を集団登校して

いる小学生の私がいますし、更に北の、今は市庁舎が建っているところには

私の中学校がありましたので、校庭で昼休みに友人とカン蹴りに興じている

中学生の私と出会います。


また今ではシャッター通りと化してしまった商店街を歩くと、喫茶店で

好きな女の子とデートしていたり、書店で分厚い受験参考書を見ている

高校生時代の私が顔を出します。


そうしたあたかも昔にタイムスリップしたかのような幻想の世界は、

いつも私が津山駅に降りた時に始まり、帰省を終えて津山駅を

発つ時に終わります。


私にとって帰省とはそのような旅なのですが、今年のお盆はコロナで

それが果たせませんので、せめて夢の中でそれを辿ってみようと

思っております。


それではまた。








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