【3代続けて教育の仕事をしている】


こんにちは。

セミナーに参加されたお一人から
「講演の中で私が共感を覚えたのは、『病院ではそれまで
 教育できる人がいなかったから事務職員が育っていなかった』
 というくだりでした。これは様々な職場で共通する問題点で、
 人材育成の大切さとそれが出来る人の確保の重要性を
 改めて認識いたしました」
というメールを頂戴しました。

「人材育成の大切さ」と「それができる人の確保の重要性」
につきましては今更申し上げるまでもありませんが、
私には教育について、それとは別の感慨があります。

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      3代続けて教育の仕事をしている
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実は私の親父は小学校の先生でした。

子供が大好きで、それゆえ子供が慕ってきて、また教え方がうまく、
24時間生徒のことばかり考えていて、息子ながら
「教育者とは、また聖職者とはこういう人のことを言うのか」
と思って親父を見ていました。

それが隔世遺伝したのでしょうか、私の息子も同じタイプで、
今、教育に携わっています。

しかし私には親父のそうした教育者としての資質が伝わって
いなかったらしく、昔から教えることが苦手で、第一、
子供が嫌いでした。

ですから息子が小さいころ「お父さん、ここが分からないので教えて」
と言ってきても「こんなことも分からないのか、馬鹿者」
と𠮟りつける始末でした。

子供にしてみれば、分からないから聞いてきているのに、
それを叱りつけていては、教育もなにもあったものではありません。

従って「自分には教育者の資質は無い」と思い決めたこと
及び経営再建で忙しくて教育どころではなかったことから、
岡山市民病院に赴任する前の各病院では、
病院事務職員の教育について真剣に考えたこともなければ、
やったこともありません。

岡山市民病院で私が病院のプロパー事務職員の教育に着手したのは、
私の高校時代のクラスメートで、私を岡山市民病院の事務局長として
経営再建のために呼んだ理事長兼院長に「お前にしかできない」
と押し付けられて、やらざるを得なかったためです。

しかし教育の対象が子供ではなく社会人だったこと、
病院外から採用されて入職したものの、病院内でこの先どうなるか
その展望が開けないでいた病院のプロパー事務職員だったことは、
そういう私にとって幸いでした。

小学校の先生と違って対象者全員を教育して引き上げる必要はなく、
またその機嫌を取る必要もなかったからです。

それゆえ、岡山市民病院でのプロパー事務職員教育では、
プロパー事務職員の中で、有能な、病院と自分の将来について真剣に考える、
意欲のある者だけ、ついてくる者だけ、教育して引き上げるべく自由参加方式とし、
「学びたければ来なさい。日本一の最高のものを教えます。
 しかし嫌なら来なくても構いません。大人だから、社会人だから、
 自分の人生だから、どちらにするかは自分で決めなさい」
というスタンスをとりました。

そして、それが高じた結果、今も私は病院経営コンサルをする傍らで、
病院経営者(事務長)育成塾を開いて、病院経営を学びたい病院や
企業の幹部や実務者を対象に「病院経営の方法論」を教えていますが、
そこでも全く同じスタンスをとっています。

しかし本当に人生とは分からないもの。

気が付いたら、教育者としての資質がないと思っていた私も含めて結局、
親父・私・息子と3代続けて教育の仕事をしています。

世襲の政治家やタレントの二世・三世を笑えなくなりました。

それではまた。





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